現在、仮想通貨の代表格ともいえるビットコインについては、取引所、販売所、ATMやビットコインを利用した決済サービスなどの事業が展開されています。
今般、このような「仮想通貨交換業」に関するルールを整備するための法改正がなされます。
法改正の目的は大きく2つ。
1つは、マネーロンダリング・テロ資金供与を防止するため。もう1つは、利用者を保護するためです。
仮想通貨交換業者は、法改正の目的をよく理解した上で、これに対応する必要があります。
◆登録制による新規参入規制
まず、「仮想通貨交換業」にあたる場合には、登録を受けなければなりません(改正資金決済法63条の2)。
適切な財産的基礎、適正かつ確実な業務遂行体制などが整っていない場合には登録が拒否され、いったん登録されれば、その登録簿は公表されます。
現在すでに「仮想通貨交換業」を行っている事業者は、改正法が施行されるまでに登録要件・登録拒否事由をチェックしておきましょう。
◆マネーロンダリング・テロ資金供与の防止のために
マネーロンダリング・テロ資金供与対策としては、犯罪収益移転防止法の改正です。
具体的には、仮想通貨交換業者が犯罪収益移転防止法の「特定事業者」に追加され、本人確認、本人確認記録及び取引記録の作成・保存、疑わしい取引の当局への届出、体制整備(社内規則の整備、研修の実施、統括管理者の選任など)といった義務を負うことになります。
◆利用者保護のために
Mt.Goxの破綻が問題となったことを踏まえ、仮想通貨の利用者を保護することも重要な課題とされています。これに関しては、資金決済法の改正によることとなります。
⑴ 利用者保護を意識した業務
仮想通貨交換業者は、利用者保護等に関する措置を整えなければなりません。
具体的には、利用者に対し、誤認防止のための説明を行ったり(仮想通貨と法定通貨との交換が保証されていないことなど)、契約内容に関する情報を積極的に提供したりする必要があります。
また、利用者から預かった金銭・仮想通貨については、自己の金銭・仮想通貨と分別管理することが求められます。実務的には、分別管理の具体的な方法が重要ですが、仮想通貨の技術が発展途上ということもあり、流動的な対応とならざるを得ないでしょう。
そのほかにも、情報の安全管理(システムのセキュリティ対策、個人情報の管理など)、指定紛争解決機関との契約締結義務、あるいは苦情処理・紛争解決のための体制を整える義務が課せられています。
⑵ 金融庁による監督
仮想通貨交換業者は、金融庁による監督を受けることになります。
これとの関係では、帳簿書類の作成・保存、事業報告書の作成・提出などが義務づけられています。
また、必要に応じて立入検査や業務改善命令がなされ、一定の場合には登録の取消しや業務停止命令などもあり得ます。
◆まとめ
法改正は、マネーロンダリング・テロ資金供与対策はもちろんですが、特に利用者保護に力が入っている印象です。
違反に対する罰則も設けられており、仮想通貨交換業者にとっては相当の負担となるのではないでしょうか。
今後、内閣府令などにより規制の内容が具体化されるものと思われますが、利用者の保護とイノベーションの促進との調和が望まれます。
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