「仮想通貨」に真正面から向き合う!資金決済法の改正

標準

決済手段としての存在感を増す仮想通貨に対応するため、資金決済法等を改正する法律案が国会に提出されました。

改正の要点は、2つ。

1つは「仮想通貨」の定義が明らかとなったこと。もう1つは、この仮想通貨を取り扱う「仮想通貨交換業」に対する規制が整備されたことです。

◆「仮想通貨」の定義が明らかに

まず重要なことは、これまで人によって様々な意味で用いられていた「仮想通貨」という用語が法律により定義されたということです。

具体的には、次のように定義されています(改正法2条5項1号)。

① 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの対価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、
かつ、
② 不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、
③ 電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

これに加え、次のものも「仮想通貨」に含まれることとされています(改正法2条5項2号)。

① 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、
② 電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

このように、改正法にいう「仮想通貨」は、ブロックチェーン技術や管理者の不在といった特徴を持つ仮想通貨(典型的にはビットコイン)だけでなく、様々な仮想通貨を捉えられるものとなっており、定義としてはかなり広範なものとなっています。

一方で、あくまでも「不特定の者」の間での使用・流通が前提となっているため、特定の者の間での使用・流通が前提となっている前払式支払手段(電子マネー)やポイントとは区別されているといえるでしょう。もっとも、「特定」「不特定」という概念は評価を必要とするものであるため、その区別はやはり曖昧といわざるを得ません。

ちなみに、仮想通貨は、「通貨」や「貨幣」と同様の機能を持つとはいわれますが、「通貨」や「貨幣」そのものというわけではなく、あくまでも「財産的価値」という独特な位置づけとなっています。そもそも、「通貨」「貨幣」といった用語は、法律全般にわたって整合的に用いられているとはいえないので、「仮想通貨は通貨や貨幣にあたるか否か」といった議論にはあまり意味がありません。「仮想通貨は『財産的価値』」。一般的には、この理解で十分でしょう。

◆「仮想通貨交換業」に対する規制を整備

また、今回の改正は、「仮想通貨そのもの」に対する規制の整備ではなく、仮想通貨を取り扱う「事業者」に対する規制を整備することが主眼となっています。

怪しげな事業者を排除して、マネーロンダリング・テロ資金供与や消費者被害を防ごうという趣旨です。

規制の対象となる「仮想通貨交換業」は、次のように定められています(改正法2条7項)。

① 仮想通貨の売買又は他の仮想通貨との交換
② 前号に掲げる行為の媒介、取次ぎ又は代理
③ その行う前2号に掲げる行為に関して、利用者の金銭又は仮想通貨の管理をすること

①において、仮想通貨と法定通貨の交換だけでなく、仮想通貨相互の交換も規制対象となっている点、②において、自ら交換所を営むわけではないブローカーなども規制対象となっている点が重要です。できる限り広い範囲の事業者を規制対象に含めようとする意図がうかがえます。

また、③において、「利用者の金銭又は仮想通貨の管理をすること」も規制対象とされていますが、これはあくまでも「前2号に掲げる行為」に関するものに限られます。そうすると、単なるウォレットの提供であれば規制対象外となると思われます。

そして、この「仮想通貨交換業」にあたる場合には、登録制による新規参入規制利用者保護等の措置金融庁による監督といった規制が課されることとされています。

◆まとめ

今回の改正は、包括的なものとはいえ、「仮想通貨」や「仮想通貨交換業」に法律が真正面から向き合ったものであり、いまだ「得体の知れないもの」という印象のある仮想通貨(特に日本ではMt.Goxの件があったため、仮想通貨に対する悪印象が根強いのが実情です)の透明性を高めるものとして評価することができます。

仮想通貨やこれを支えるブロックチェーン技術は、PC、インターネットに次ぐ第3のIT革命となり得るものであるため、今後もその推移を見守りつつ、法令やガイドラインによる適切なルールづくりをしていくことが望まれます。

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