平成27年改正不正競争防止法への企業の対応

標準

技術・ノウハウなどの情報は、企業が競争力を維持・強化するための生命線です。

ところが、情報漏洩事件の頻発、被害金額の高額化や手口の高度化など、情報漏洩リスクは深刻化するばかり。

そこで、営業秘密の保護を強化するため、不正競争防止法の改正が行われました。

◆営業秘密の保護が強化された

平成27年改正によって、営業秘密の保護が強化され、営業秘密が侵害されている疑いがある場合、救済を求めやすくなりました。

改正の概要は、次の表のとおりです。

平成27年不正競争防止法改正の概要

平成27年不正競争防止法改正の概要

不正競争防止法による営業秘密の保護は強化されましたが、そもそも「営業秘密」の要件(秘密管理性・非公知性・有用性の3要件)を満たさなければ、同法による保護を受けることはできません。

ところが、中小企業においては、「営業秘密」の要件(特に秘密管理性)を満たす適切な情報管理ができていないケースが見受けられます

自社の情報管理が秘密管理性の要件を満たしているかどうかをあらためてチェックしてみてはいかがでしょうか。

◆改正による新たなリスクへの対応

営業秘密の保護が強化されたということは、反面、営業秘密を侵害したとして他社から攻撃されるリスクが増えたということをも意味します。

企業としては、他人の営業秘密を侵害したと疑われないようにすることや、疑われた場合に不正を行っていないことを証明できるようにしておくことが重要です。

例えば、競業他社の元従業員の雇入れや、他社との共同開発の成果の取扱い、名簿の購入などの場面で、気づかぬうちに他社の営業秘密の不正取得や不正利用を行うことがないように対策を立てることが必要です。

具体的には、競業他社の元従業員を雇い入れる場合、不正競争防止法違反や守秘義務・競業避止義務違反とその責任追及の可能性を考慮した上で採用に踏み切る運用が求められます。

また、他社と共同開発を行う場合は、秘密保持契約を締結し、ラボノートなどで情報の取扱いを記録・管理しておくべきでしょう。

名簿を購入する場合には、その情報の出所を確認し、不正な取得や開示が行われた可能性があることが判明した場合には、取得を控えることも検討しなければなりません。

他社の営業秘密を取得してしまったことが判明したときの社内体制・対応方針を準備しておくことも重要です。

◆まとめ

営業秘密の重要性は、今後も増すばかりです。

企業においては、不正競争防止法による保護を受けるための情報管理体制の見直しとともに、侵害者であると疑われることを意識した情報管理体制を構築することが重要です。

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