ポイントサービスの利用規約で押さえるべき5つのポイント

標準

Tポイント(CCC)、楽天スーパーポイント(楽天)やPonta(ロイヤリティ マーケティング)などの共通ポイントのシェアをめぐる競争が激化する一方で、独自のポイントサービスを展開しようという事業者もいます。

ポイントサービスは、販売促進や顧客囲込み等のために有用ですが、ポイントに対する利用者の期待と事業者の認識のズレからトラブルが生じることがあります。

事業者が利用者との間でポイントサービスに関する合意をするにあたっては、利用者からみてわかりやすい利用規約を定めることが重要です。

◆すべてはサービス内容の正しい理解のために

利用規約を定めるにあたっては、利用者に誤解や過剰な期待を持たせることを回避しなければなりません。

特に、①付与条件、②利用条件、③トラブルへの対応、④ポイントの譲渡、⑤利用規約やサービスの改廃については、利用者の期待や関心が高いため、情報提供の範囲や方法に注意が必要です。

⑴ 付与条件

ポイントの付与条件(例:対象となる商品・サービスの範囲、付与率)は、商品・サービスの内容や時期によって変化するため、利用規約にすべての付与条件を定めることは難しいでしょう。

しかし、少なくとも基本的なルールは利用規約に明記し、具体的な付与条件については、別途書面の交付やネット上での表示により、利用者が確認できるようにしておきましょう。

⑵ 利用条件

ポイントの利用条件(例:有効期限、利用対象、最低利用数量、ポイント交換レート)についても、付与条件と同様、少なくとも基本的なルールは利用規約に明記し、具体的な利用条件については、別途書面の交付やネット上での表示により、利用者が確認できるようにしておきましょう。

また、利用者が期待する合理的な水準と異なったルールを設ける場合には(例:著しく短い有効期間を定める場合)、特にわかりやすい表示・説明を行うことが求められます。

ただし、そのようなルールを設けること自体が利用者の利益を一方的に害するものである場合、消費者契約法10条により無効となりうるとの指摘があるため(経済産業省「企業ポイントに関する消費者保護のあり方(ガイドライン)」)、注意が必要です。

⑶ トラブルへの対応

ポイントサービスの運用にあたっては、様々なトラブルに直面します。

このようなトラブルへの適切な対応も、重要なサービスの内容の1つです。

例えば、ポイントカードの紛失・盗難、パスワードの忘失などの場合、ポイントが失効するか否か、再発行が認められるか否か、再発行が認められるための条件・手続などを明らかにしておくべきです。

また、利用者が不正な方法によりポイントを取得したような場合への対応としては、ポイントの取消し・失効となる旨を定めておくことが一般的です。

ほかにも、システムの保守、通信回線・コンピュータの障害などの場合にサービスを一時停止または中断することがありうるため、その旨の規定を設けることが考えられます。

⑷ ポイントの譲渡

ポイントサービスは販売促進や顧客囲込み等のためのものであることから、ポイントの譲渡その他の処分は利用規約で禁止されているケースが多いと思われます。

もっとも、ポイントを譲渡することが性質上不可能というわけではないため、仮に譲渡を認める場合には、対象者や手続などを明記しておくべきでしょう。

⑸ 利用規約やサービスの改廃

前述のとおり、ポイントサービスにおいては、付与条件・利用条件を変更・廃止する必要に迫られることがあります。ポイントサービスそのものを終了せざるを得ないこともあるかもしれません。

この変更・廃止に備え、あらかじめこれらが変更・廃止されることがあることやその手続に関する定めを設けておくことが必要です。

改廃にあたっては、あらかじめ利用者に告知を行うことが望ましく、告知から条件変更・終了までに十分な期間を設けること、利用者に特に不利益を与える場合には告知方法もていねいに行うことが望ましいでしょう。

◆まとめ

このように、利用規約を作成するにあたっては、①付与条件②利用条件③トラブルへの対応④ポイントの譲渡⑤利用規約やサービスの改廃に関する定めに注意する必要があります。

もっとも、利用者にポイントサービスの内容を正しく理解してもらう方法は、利用規約を定めることだけではありません。簡略化した説明書面を交付したり、店舗等で表示・説明をしたりすることもあります。

また、ポイントの付与にあたり、具体的な付与量や有効期限などの表示・説明を行うこともあります(例:小売業者であれば商品の値札やレシート、クレジットカード業者であれば毎月の利用明細、ネット通販業者であればウェブサイト上の表示)。

そのほかにも、メールなどによりポイントの残高や有効期限などの情報を提供することもあるでしょう。

いずれにせよ、ポイントサービスの利用者に誤解や過剰な期待を持たせないように配慮することが肝要です。

利用者にとって使いやすいポイントサービスを心がけ、利用者のファン化を目指しましょう。

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