ドローン規制はどこに向かっているのか

標準

◆進むドローン規制

小型無人機ドローン(マルチコプター、クアッドコプター)に対する規制の整備が着々と進んでいます。

ドローン規制の1つとして、航空法の一部を改正する法律(平成27年法律第67号。以下「改正航空法」)が成立し、2015年9月11日に公布されました。公布から3か月以内に施行されることとされています。

◆改正航空法による規制内容

改正航空法の内容をみると、航空機の航行や人・物の安全を確保するため、なかなか厳しい内容となっています。

⑴ ドローン=「無人航空機」

改正航空法は、「無人航空機」に関する規定を新設しました。

ドローンは、この「無人航空機」として、同法による規制を受けることになります(ちなみに、普通のラジコン飛行機やラジコンヘリもこの「無人航空機」に含まれます。)。

改正航空法の委任を受けた同法施行規則により、重量が200g未満のものは規制対象から除かれることとされていますが、逆をいえば、200g以上のものはすべて規制対象となります。将来的な技術の進歩による軽量化を視野に入れたのでしょうが、それにしても200gは軽い。現段階では多くのドローンが規制対象となってしまいます。

⑵ ドローンの飛行が禁止される空域

国土交通大臣の許可がない限り、以下の空域でのドローンの飛行が禁止されます(改正航空法132条)。

① 空港周辺や高度150メートル以上の空域
② 人や家屋の密集している地域の上空

⑶ ドローンの飛行の方法

また、国土交通大臣の承認を受けた場合を除き、以下の方法により飛行させなければなりません(改正航空法132条の2)。⑵についてもいえることですが、衝突回避システムの開発・機能向上などにより安全確保の体制がとられた場合には、柔軟に許可・承認をしてもらいたいところです。

① 日出から日没までの間に飛行させること
② ドローンの周辺状況を目視により常時監視して飛行させること
③ ドローンと人・物件との間に30メートル以上の距離を保って飛行させること
④ 多数の者の集まる催し(祭礼など)が行われている場所の上空で飛行させないこと
⑤ ドローンで危険物を輸送しないこと
⑥ ドローンから物を投下しないこと

⑷ 罰則

そして、⑵⑶の違反には50万円以下の罰金が科されます(改正航空法157条の4)。

◆その他の法令による規制にも注意が必要

改正航空法のほかにも、注意しなければならない法令があります。

議員立法として、「国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律案」が今国会で成立の見通しです。この法律では、ドローンのほか、パラグライダーやハンググライダーも規制対象となっています。

また、道路交通法との関係で、公道上空でのドローンの飛行は、「道路において…作業をしようとする者」(同法77条1項1号)にあたるとして、所轄警察署長の許可が必要となる可能性が指摘されています。

地方自治体においては、条例によるドローン規制の動きも見受けられます。例えば、東京都は、都立公園条例の「講演の管理に支障がある行為の禁止」を根拠として、都立公園・庭園の管理者にドローンの使用を禁止するよう通知しています。

◆ドローン規制の今後

このように、ドローン規制の整備は着々と、そして過剰ともいえるくらいに進んでいます。

事故、テロの防止やプライバシー等への配慮はもちろん重要ですが、問題のあるものをがんじがらめに規制してしまうのはあまりに安易でしょう。日本の産業・技術の発展のためにも、規制はほどほどにしてもらいたいものです。

なお、将来的には車と同じような規制を設けることが考えられます。ドローンの操縦を免許制にした上で、無免許操縦をした場合や事故を起こした場合には罰則を科す。関連諸法令の整備が必要不可欠であり、ドローン保険の充実・普及も課題でしょうね。

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