医薬分業と院外処方

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病院・診療所からのご相談が増えてきたので、医療に関する話題を1つ。

◆医薬分業のメリット・デメリット

薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならないとされています(薬剤師法19条本文)。いわゆる「医薬分業」(医師が患者に処方せんを交付し、薬剤師がその処方せんに基づき調剤を行い、医師と薬剤師がそれぞれの専門分野で業務を分担すること)です。これに対応する規定として、医師法22条や歯科医師法21条があります。

医薬分業の趣旨は、医師と薬剤師による二重のチェックにより誤投薬や過剰投薬などを防止することにあります。

他方で、調剤基本料、調剤料や薬学管理料などが加算されることにより患者の費用負担が重くなったり、医療機関から薬局までの移動を強いられることにより二度手間になったりするなどのデメリットもあります。また、処方せんどおりに薬を出すばかりで、患者と十分なコミュニケーションを取ろうとしない薬局に対する不満も多くあるようです。

◆院外処方の注意点

医療機関が患者に対して薬剤を処方する場合、①診療を担当した医療機関において調剤も併せて行う方法(院内処方)と、②医療機関は処方せんを交付するだけで、患者が処方せんを薬局に持ち込み、薬局で調剤を受ける方法(院外処方)があります。厚生労働省は、医薬分業を徹底するべく、院外処方を推進しています。

さて、この院外処方にあたって注意したいのが、特定の保険薬局への誘導の禁止です。

「保健医療機関及び保健医療養担当規則」(療養担当規則)では、保健医療機関と保険薬局との相互の独立を確保するため、保健医療機関が特定の保険薬局へ誘導することや、このような誘導の見返りとして保険薬局から金銭などを収受することが禁止されています(療養担当規則2条の5)。

保健医療機関がこれに違反した場合には、保健医療機関の指定が取り消される可能性もあるので(健康保険法80条2号・70条1項)、注意が必要です。

実際には、医療機関やその従業員などが患者に対して最寄りの薬局の所在や道順などを案内することがありますが、これを療養担当規則で禁止されている「誘導」と評価するか、あるいは単なる情報提供ととらえるかについては難しい問題です。

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