「欠陥」の類型に応じたPL対策

標準

◆3つの「欠陥」

製造物責任法(PL法)上の「欠陥」は、おおむね3つの類型に分けられます。それぞれの「欠陥」に応じたPL対策を検討することが肝要です。

⑴ 設計上の欠陥

製造物の規格や仕様を決める設計は、一連の製造工程の中で最初の段階にあたります。この設計段階で安全性を欠いている場合を「設計上の欠陥」といいます。

⑵ 製造上の欠陥

「設計上の欠陥」はないものの、設計のとおりに製造されなかった製造物が安全性を欠いている場合には、「製造上の欠陥」が問題となります。規格や仕様から逸脱した不良品(アウスライサー)や異物混入などがこの類型にあたります。

⑶ 指示・警告上の欠陥

「設計上の欠陥」「製造上の欠陥」がなかったとしても、消費・使用の方法によっては危険があり、事故が発生することがあります。このような危険が予見される場合、製造業者は、消費者や使用者に対し、適切な指示・警告をしなければなりません。指示・警告が不十分である場合、「指示・警告上の欠陥」が問題となります。

◆想定される「欠陥」に応じたPL対策を

⑴ 設計上の欠陥への対策

設計上の欠陥への対策としては、危険を回避するための具体的な措置を施したり、あるいは危険を回避しうる代替設計の有無を十分に検討したりすることが考えられます。想定される使用者の属性や使用環境などを踏まえた設計が必要となります。

⑵ 製造上の欠陥への対策

製造工程において、規格や仕様から逸脱したアウスライサーの発生や異物混入などは避けられず、これを完全に除去することも困難です。他方、これにより消費者や使用者に損害が発生した場合、製造業者は製造物責任を負うことになります。

結局、技術水準の向上や品質管理体制の構築・整備に努めるほかありませんが、製造コストとのバランスが悩ましい問題です。

⑶ 指示・警告上の欠陥への対策

指示・警告は、製造業者と消費者・使用者との間にある情報収集能力や危険回避能力の格差を埋めるために行われるものです。したがって、指示・警告にあたっては、取扱説明書や注意書などにより必要かつ十分な情報を提供し、適切な消費・使用行動を促し、もって危険を回避できるように配慮しなければなりません。

指示・警告の無視、非常識な用法での消費・使用により損害が発生する事例も散見されますが、このような場合にまで製造業者が製造物責任を負うものではありません。消費者教育の必要性を痛感するところです。

◆将来の紛争への備え

「欠陥」の類型に応じた対策とは別に、将来的な製品事故による紛争への備えもおろそかにするわけにはいきません。想定されるリスクの内容や規模などに応じ、次のような備えをしておくことが重要です。

① クレームに対応する体制の構築・整備
② 訴訟の際に必要な証拠資料の保存
③ PL保険の利用

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