製造業者でなくとも気をつけたいPL法

標準

◆PL対策の必要性

食品、医薬品、化粧品、日用品、家庭電器、自動車・自転車、機械・設備やコンピュータなどの欠陥により人の生命、身体や財産に損害が発生した場合、製造物責任(Product Liability)が問題となります。

製造物の欠陥による損害は広範囲かつ甚大なものとなりがちであるため、企業としては、製造物責任法(PL法)を踏まえ、適切な対策を講じておく必要があります。

◆製造物責任を負うのはだれか

「製造物責任」という字面から誤解されがちですが、製造物責任を負うのは、製造業者だけではありません。

⑴ 製造業者・加工業者・輸入業者

製造物の製造業者に加え、加工業者や輸入業者も同様の責任を負います(PL法2条3項1号)。これらはPL法でも一括して「製造業者」と呼ばれ、すべて同列に置かれています。

⑵ 表示製造業者

① 実際には製造物を製造、加工あるいは輸入していない場合であっても、製造業者として氏名等を表示した業者は製造物責任を負います(PL法2条3項2号前段)。具体的には、「製造元○○」「輸入元××」などといった肩書きを付した場合には、表示製造業者として責任を負うことになります。

② また、①のような製造業者としての表示ではなくても、製造業者と誤認させるような表示をした者も製造物責任を負うことになります(PL法2条3項2号後段)。誤認させるような表示であるかどうかについては、社会通念に照らして客観的に判断されることとされており、例えば、販売業者の氏名、商号、商標、ロゴマークといった表示の有無や態様などが判断要素とされるため、PB(プライベートブランド)製品やOEM製品を取り扱う業者は気をつけたいところです。

⑶ 実質的表示製造業者

さらに、製造業者(PL法2条3項1号)や表示製造業者(同項2号)に該当しない場合であっても、製造・加工・輸入・販売形態その他の諸事情を考慮し、実質的な製造業者と認められるような業者も製造物責任を負います(同項3号)。例えば、一手販売を行う販売業者の場合には、仮に「製造元○○、販売元△△」と明確に表示されていたとしても、「販売元△△」が実質的表示製造業者として責任を負うことがあります。

製造物を取り扱う業者としては、裁判例などを踏まえた難しい対応が求められます。

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