システム開発委託契約書に関する3つのチェックポイント

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システム開発において契約書を作成することは非常に重要ですが、せっかく契約書を作成したとしても、紛争の予防・解決に役立つものでなければまったく意味がありません。

そこで、システム開発において特に紛争の原因となりやすい点を踏まえつつ、契約の締結にあたって注意すべき3つのポイントを解説します。

◆ポイント1:開発対象の範囲を特定する

⑴ 開発対象の範囲を特定する

開発対象の範囲が曖昧である場合、仕事の完成・未完成、瑕疵の有無などをめぐって紛争になることがあります。「そもそもベンダは何を開発すべきなのか」という問題は、システム開発委託契約の根幹をなす問題であるため、いったん紛争になると、泥沼化は必至です。

このような紛争を避けるためには、契約書やその附属書類に開発対象の範囲を明記することが重要です。その際には、「○○システム」といった名称だけでなく、実装される機能の一覧まで明記する必要があります。

⑵ 開発対象の範囲の特定方法を定める

システム開発は、要件定義や外部設計を経なければシステムの内容を具体的に特定することが困難であり、契約書に記載される開発対象は抽象的なものとならざるを得ない場合もあります。

その場合には、開発対象の範囲を特定する方法を契約書に定めておき、その方法に従って開発対象を特定していくことが必要になります。

⑶ 開発対象の範囲の変更方法を定める

開発対象の範囲は、いったん特定されたとしても、作業の過程で仕様変更・機能追加がなされることも多々あります。

そこで、仕様変更・機能追加の手続、追加報酬の可否などについて定めることも必要です。

◆ポイント2:ユーザ・ベンダの役割分担を明確にする

システム開発の実務では、ユーザとベンダとの間で作業の押し付け合いや責任分担の線引きについての争いが生じることがあります。

そこで、契約書では、ユーザとベンダの役割分担を明確に定めておく必要があります。

なお、契約書で役割分担が定められていたとしても、それだけで十分対応できるわけではなく、契約締結段階では予期できなかった事態への対応を迫られる場合があります。

このような場合、ベンダは、プロジェクトの進捗管理、阻害要因への対処等をすべき義務(プロジェクトマネジメント義務)を負っており、他方、ユーザは、ベンダから示された課題・懸案事項の解決等をすべき義務(協力義務)を負っています。

したがって、ユーザ・ベンダのいずれについても、契約書に明記された役割だけを果たせばそれで十分というわけではないことに注意が必要です。

◆ポイント3:著作権等の権利の処理を明確にする

システム開発の成果物であるプログラム等の利用方法を検討しておらず、著作権等の権利の処理を適切に行っていないことが原因で紛争となることがあります。

例えば、システム開発後、ユーザが委託先のベンダを変更して、新機能を追加したり、大幅な改良をしたりしようとする場合には、著作権の問題が生じます。このような場合にプログラムなどの著作権が委託先変更前のベンダに帰属していると、ユーザは自由に新機能の追加などを行うことができないことになります。

そこで、契約書において、著作権等の権利の処理について、明確に定めておくことが重要となります。

◆まとめ

このように、システム開発においては、開発対象の範囲を特定すること、ユーザ・ベンダの役割分担を明確にすること、権利の帰属を明確にすることで、紛争の多くを予防・解決することができます。

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