コンサルタント契約を締結する際の注意点

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◆多種多様なコンサルティング業務

弁護士として活動する中で多くのコンサルタントと知り合い、ときに一緒に仕事をすることがあります。また、ネットやテレビなどでその活動の様子を見かけることも多々あります。

コンサルティング業務は実に多種多様であり、企業の経営コンサルティングから一般家庭の片づけコンサルティングまで、人の活動あるところ必ずコンサルティング業務があるといってよいでしょう(実は弁護士にも法務コンサルタントとしての側面があります。)。

また、コンサルティング業務の内容は、通常、専門的な助言ですが、それにも大きく分けて、一定の期間内に発生する対象事項について助言を行う場合と特定の案件について助言を行う場合とがあります。さらには、助言にとどまらず、コンサルタントが具体的な対応策まで実行するものなどもあります。

◆コンサルタント契約の法的性質

コンサルタント契約の一般的な法的性質としては、委任契約(民法643条)あるいは準委任契約(民法656条)であることが多いと思われますが、先に述べたようにコンサルタントが具体的な対応策を実行することまで求められるような場合には、請負契約(民法632条)の性質を帯びることとなります。

◆コンサルタント契約を締結する際の注意点

このように、コンサルタント契約の内容や法的性質を一義的にとらえることはできず、また、コンサルタント契約を包括的に規律する法令もないため、委託者とコンサルタントとの間の法律関係は、コンサルタント契約の内容をどのように定めるかによることとなります。

そこで、コンサルタント契約を締結する際には、次のような点に注意すべきです。

⑴ 業務内容を特定すること

コンサルタント契約は、問題提起や助言といった無形のサービスの提供を目的とすることが多いため、コンサルタントの行うべき業務の内容が曖昧になりがちです。

そこで、コンサルタント契約においては、コンサルタントに委託する業務の内容をできる限り具体的に特定することが重要です。

⑵ 報酬の発生条件を明確にすること

また、⑴と関連することですが、コンサルタント契約では、当初の想定を超えた巨額の報酬が発生し、委託者とコンサルタントとの間に争いが生じることもめずらしくありません。

そこで、コンサルタントの報酬請求権がどのような業務をすれば発生するのかを明確に定めることが重要となります。

⑶ 業務遂行における法令遵守を定めること

コンサルタント業務を行うに当たっては、報酬を得る目的での法律事務の取扱いは弁護士でなければ行うことができないといった業法上の制限があることがあります。

業法との関係に限らず、コンサルタントが業務を行うに当たって関係諸法令を遵守するべきことを定めておくことが必要です。

⑷ 秘密保持条項を定めること

コンサルタント業務の過程において、コンサルタントが委託者の営業秘密などを知り得ることになるので、弁護士などのように法的に守秘義務を負っている場合は別として、秘密保持条項を設ける必要があります。

また、コンサルタントとしては、自己の専門的な知識を駆使して提供した助言や成果などが委託者以外の第三者に利用されることを避けたいと考えることがあります。このような場合、委託者がコンサルタントの助言などを第三者に利用させることを禁止する規定を設けることになります。

⑸ その他

そのほかにも、コンサルティング業務の内容や具体的事情に応じて、コンサルタントの競業避止義務や暴力団排除条項などを規定することもあります。

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